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エデンに響き渡るのは、焦がれた声。
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■TOS/ロイコレ/シルヴァラント編

ご覧になる方は「つづきを読む」からお願い致します。




君を守っていられるなら
─────────────────────────────────────────

ひとつ、もう残されたものはひとつだけ。
それは何よりも大切で壊したくないもの、いつまでも変わらないで響いてほしいもの。


「コレット、どうし……、」


あんなに遠かった救いの塔が、近い。大きくて高くて、雲を突き抜けて何処までも伸びる塔は、こわいくらいに遠すぎた。
物憂げな眼差しで救いの塔を見つめているコレットに気が付いて、ロイドは足を止めた。振り返った先のコレットは唇を結んだまま、苦しげに天を貫く救いの塔を見上げている。

その姿がひどく胸に突き刺さる。
眠ることを許されず、食事を受け付けない身体は、既に冷たい風のひとつも感じなくなった。そしてついには彼女の優しい声さえも奪い去って。


(…くそ)


不甲斐無い。どうすることもできない自分が腹立たしい。
ロイドは唇を噛んで、大きく息を吐いた。苛立ちを隠すようにして、彼はコレットへ歩み寄る。


「コレット」


ああ、ロイドに心配をかけてしまった。
ごめんね、と苦笑いをする。悪いとは思う。
けれど、不謹慎で申し訳ないが、コレットはまるで自分を求めてくれているかのようなロイドの声が好きだった。
ロイドが自分を呼んでくれる瞬間が、とても好きだった。

それはどうしよもない現実に引き戻す悪魔の囁きのようでもあり、こんな自分に優しい夢を教えてくれる救いの手のようでもあった。
どちらも否定できなくて困るのだけれど、コレットは彼に呼ばれる自分の名前を耳にするのが、心地良くて切なくて、苦しいけれど手放せない大切なものだと感じていた。

ゆっくりと振り返り、ロイドを見つめる。
心配そうな瞳を見て、ちくりと胸が痛むけれど、そうして身を案じてくれている事実を嬉しいと思わないわけではない。
小さな罪悪感は毎日降り積もり、やがてこの胸を潰すのだろう。それでもコレットはロイドの傍を離れることが、できなかった。


(ごめんね)


どうしたんだ、と瞳で問いかけてくるロイドの手を、ただ握る。
縋るように握られた手、目を伏せたコレットを見てはもう、ロイドは何も言えない。
もどかしそうにコレットと、握られた手を見て、結局は言葉を飲み込み、ただ少女の小さな手を握り返す。たぶん、その手は冷たい。今すぐにグローブを外して、自分の温もりを分けてやりたい衝動に駆られる。

けれどそれを実行する前に、コレットが一歩近付いてきて、ロイドを見上げる。
澄んだ色の瞳は綺麗で。悲しいくらい綺麗で。
ふ、と微笑んで、彼女は寄り添うようにロイドにぴたりとくっついた。

益々どうすることもできなくなってしまう。
ロイドはコレット頭をそっと撫でた。

コレットは何も言ってほしくはないのだと、そう思う。
声もなくコレットはそれを訴えた。天使になる、という決意はどこから湧いて出てくるのだろう、こんなにも苦しそうで悲しそうで、人としての機能を失っていくばかりなのに。

びゅう、とひときわ強い風が吹き荒れて、コレットの金髪が舞い上がる。
彼女の頭を撫でていたロイドは、咄嗟にそれを抑えた。

「風、強くなってきたな」

ぱちりと瞬いたコレットに、行こう、と呟いて、ロイドは彼女の手を引いて歩き出した。少し遅れてしまった。仲間に追い付かなければ。

手を引かれ、少女は精一杯に祈る。
どうかどうか、笑って生きていける世界になりますようにと。
みんなが幸せになれる世界、こんな自分を守ろうと足掻いてくれている彼が、どうかしあわせになってくれる世界を。

もう感じないけれど、この手を握ってくれる温もり、
もう呼ぶことはないけれど、私の名前を呼んでくれるあなたの声、
もう夢の中でさえ未来は望めないけれど、当たり前のように彼と過ごす時間、
全部、なにもかもを手放したくない、消えてしまいたくないし消してしまいたくない、失いたくない大切なもの、奪われることなんて我慢ならないもの、生きる糧そのものだけれど。


(この世界を、みんなを。…ロイドを、守っていられるなら)


大切なものを守る為に、大切なものを手放すことも、一つの道ではあるだろう。
(それに苦痛が伴っていると分かっていた、心も身体に十分に思い知ってしまって、もう疲弊しているけれど、一度選んでしまったこの道を引き返すことはできないし、そもそも“神子”であるコレットにはこの選択肢しか残されていなかったのだ。)

大切なものを守る為、なら。
未来を忘れても構わない。

何もかもを手放して、この世界に涙を降らそう。


■END

久しぶりにシリアスを書いた気がします。
あれ、ロイコレ書いたのが久しぶりかも。一週間とか十日とか二週間ぶりくらい?

シルヴァラント編のロイコレはせつな過ぎる…。
最近はOVAネタばかりでアレでしたが。それを考えると、シリアスばかり書いてるなあ。(笑

リニューアルをしたいんですが、ほんとにTOSメニューページはどうすれば美しくなるのでしょう(;´∀`)
まったりリヌしていく気がするので、暫くはblogでお付き合いをお願いいたします。

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