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エデンに響き渡るのは、焦がれた声。
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■東のエデン/第六話「東のエデン」より/朗咲前提、平澤と滝沢

ご覧になる方は「つづきを読む」からどうぞ。


真意
─────────────────────────────────────────

誰も居ないショッピングモールを探索しにいった女三人が、監視カメラに捉えられている。
さっきまで女物の服を物色していたが、今は楽しそうに靴屋でお喋りをしている咲とおネエ、一人で携帯を取り出し何かしているみっちょんの姿がテレビに映る。
部屋に残った男二人、滝沢と平澤はソファに腰掛けていた。何を話すわけでもないが、平澤はテレビから視線を逸らすと、滝沢へ向き直る。気が付いて、滝沢は笑った。


「何?」
「ちょいどいい機会だ。ひとつ訊かせてほしいことがある」
「いいよ。俺、記憶失くしちゃってるから、答えられるかわかんないけど」


気さくな返しに苦笑を浮かべる。滝沢 朗と接してまだ数時間しか経っていないが、彼には何か、人の懐に入り込む特技があるように見受けられる。どんな相手とも合わせられる、というタイプとはまた違って、咲から話を聞いた限りでは自由奔放である彼自身にこそ魅力あるのだろう。どちらかと言うと一人で突っ込むタイプで、引っ張るようなタイプではないかもしれないが、必要であればそうする、ような気がする。
掴みやすそうで掴みにくい。雲のようなふわふわした曖昧さではないのだけれど、彼のルールが見えない。記憶を失っていても、この様子だ。度胸はあるし、行動力もある。信用できるかどうかは判断がつかないところではあるが、人柄としては気に入った、と平澤は結論した。

テレビ画面に映る女性陣をチラリと見てから、平澤は腕を組む。
少々不躾な質問ではあるが、これは訊いておかなければならない。『東のエデン』統率者としても、森美 咲の友人としても。また、春先ジョニー…もとい、大杉の友としても。

ふう、と息を吐いて、平澤は口を開く。


「これは俺の個人的な質問なんだが」
「うん、なに?」
「……」


咲をどうするつもりだ? そう問いかけるのは簡単だったのだが、ストレートに訊くのもどうかと思い、口篭もる。
そういった質問をするに至った経緯が問題だ。咲から話を聞いたのだが、どこまで聞いたのか、滝沢本人にそれを自分の口から教えるようなことをするのはルール違反かもしれない。咲が滝沢へ教えるには問題ないが、昨日の滝沢にとって自分はあくまでも名前も姿も知らない他人でしかなかった。
そもそも、昨日の咲が滝沢と何処でどんな会話をかわしたのか、その時何があったのか、滝沢にとってさっきまで他人であった自分が知っているのは、面白くはないのではなかろうか。
質問しかけて、平澤は迷った。訊きたい、が、訊いていいものなのかどうか。


「ん」


ぱちん、と指を鳴らされ、平澤は顔を上げる。
にっと笑った滝沢は、何も言わずに質問を待っている。
気にするな、話してみろ、とういう風に受け取れる。
自分で判断もつかないのかと不甲斐無さを胸に隠して、平澤は一度、咳払いをしてから問うた。


「何故、咲を此処へ呼ぼうとしたんだ?」
「咲が苦しそうだからだよ。さっきも、似たようなこと言ったと思うけどさ。おっさん達の為に無理する必要なんかないだろ?」
「ふん。そうすれば、"上がりを決め込んだおっさん達が音を上げる"、か。さっきも言ったが荒唐無稽だな」


それに関しては今、議論するつもりもない。どうせたいして面白くはない話だ。平澤にしてみれば、滝沢のそれはあまりにも楽観的すぎる提案とも言える。
問題はこの社会についてではない。もっと近しい人物のことだ。
平澤はゆるく首を振った。


「質問の仕方を変えよう。お前は咲をどうしたいんだ?」
「さぁ」


眼光鋭く問いかけた平澤をあっさりとかわし、にこりと笑って遠い目をする滝沢。
答える気がないのか、答えられないのかは分からないが、これ以上は質問しても無駄かもしれないと思った。
まともな答えがもらえるとも、あまり考えていない。所詮それは滝沢の言葉であって、彼自身の決意ではないかもしれない。結局は自分の目で見て、滝沢と接し、判断するしかないのだろう。
は、と溜息を零して、平澤は微かに笑った。ここまでスルーされているのに、顔を見れば彼に悪気は無いのだと一目瞭然なのが憎い。

もういいだろう。今後の関わり方で、滝沢 朗を分析すればいい。『東のエデン』の大事な看板娘の将来を預けることになるかもしれん男だ、じっくりと時間をかけて調査させてもらおう。
この件に関しては恐らくみっちょんは咲の判断に同調するだろうから、相談するにはおネエが適任か。大杉は…現在、春日が捜索中。見付かってことの次第を報告したとしても、ずっと咲一筋だった男だ、あらゆる意味で相談役には向かない。滝沢のマイナス面を見つけ出すには使えるかもしれないが、平澤は気に入った相手の重箱の隅を突くような趣味を持ち合わせていない。

最後にひとつ、恐らく答えはないだろうけれど、滝沢がどう返すのか気になる。
それだけを訊いてみて、この話は一旦終了としよう。


「滝沢」
「何?」
「咲のことが好きか?」
「良い子だと思うよ。冷静だし、可愛いよね」


ふん、そう来たか。優等生のような答えだ。いや、どちらかというと面接官かもしれない。
にやりと唇を吊り上げて、平澤はもっと直接的な表現をする。


「いや。咲のことを、女性として好きか?」


静かに問うと、滝沢は様子を窺うように平澤を見てから、視線を天井へ向ける。
ソファに寄りかかり、両腕を伸ばした。寛いでいるように見える。


「どうかな」


本当に分からないのか、滝沢はそう呟いて、少しだけ困ったように視線を泳がせた。
まだ出逢って間もないのに、些か結論を急かしすぎたか、と反省し、平澤は『そうか』と一言だけ返した。


■END

おかしいな。娘はやらんぞ、的な平澤と、いえお父さん娘さんは僕がいただきますよ、的な滝沢くんを書きたかったんですよ、哀華さんは。(笑)
五話と六話はさ、もう、滝沢くんカッコ良すぎるよね。咲ちゃん可愛いよ。朗咲ファンとしてはニヤニヤが止まらない。
でも五話は咲ちゃんが可哀想なので、全体的にはエデンメンバーも出てる六話の方が好きかも。


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雑多妄想部屋。

【 推奨CP 】
東のエデン/滝沢朗×森美咲
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【 好き 】
I've Soundが大好き。特にKOTOKOちゃんらぶ。
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ダークトランス系がとてもすき。
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