■東のエデン/滝咲
※劇場版Ⅰ/The King of Edenのお話です。ご注意ください。
ご覧になる方は、「つづきを読む」からお願いします。
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救出劇≠逃走劇
─── 二人にシャワーを浴びさせ、部屋ごと爆破。
謎の女性からの指示に従い、ノブレス携帯を開いた滝沢は、No.06の詳細ログから申請内容を読み取ってハッとした。勝手に動き出したヒーターと、異常な暑さの意味を理解する。勢いよく振り向いた滝沢の視線を追いかけて、咲もヒーターへ目を向けると、注目を浴びることで興奮したかのように、ヒーターがきゅいぃいいと甲高い悲鳴を発した。
一刻も早く此処から脱出した方がいいと判断した滝沢は、驚いている咲の手を取って立ち上がらせると、玄関へ連れ出した。
「さきに出てて、すぐに行くから」
手を離してしまった彼に不安そうな瞳を見せた咲は、それでもこくりと頷き、背を向ける。
滝沢は急いでジャケットの中に入れっぱなしだった鍵束を掴み取ると、ポケットに突っ込んで一目散に逃げ出した。
エレベーターの現在地を知らせる表示を見守っていた咲を見つけ、待つ時間が惜しいと判断した滝沢は、その手を掴む。
「階段で行こう、その方が早いよ。たぶんね」
「うん」
頷いた彼女の手を引いて、滝沢は駆け出した。
咲は彼の手をぎゅっと握り締めて、ついて行く。
他のフロアの宿泊客から、好奇の目を向けられながら、階段を駆け下り、ロビーに出る。と、タイミングを見計らったかのように、どぉん、と大きな爆発音が上から響いて建物を揺らした。
ロビーに集う客やホテルマンが驚いた顔で、ざわめき始める。咲の手を握り締め、滝沢はお構いなしにホテルを飛び出した。
爆発音と、すこし焦げ付いた、ちりちりとした空気。物騒な気配の中を走り、立ち止まってホテルを見上げている人々の横を駆け抜ける。
角を曲がって、滝沢はちらりと後ろを振り返る。咲の様子を確認し、再び前を向くと、悲鳴のようなサイレンと共に消防車が近付いてくるのが見えた。
消防車が曲がっていった後、横断歩道を走る。
「滝沢くんっ、は、」
「なに?」
「何処に、行くのっ?」
「バイト先。鍵持ってるからさ、たぶん、逃げ込むにはいい場所だと思うよ」
走りながら問いかけてくる、途切れ途切れの声を落ち着けるように返す。
ホテルからすこし距離を設けられたので、咲に合わせて、いくらかペースを落とす。
咲は赤いバッグを抱えながら走っている。と、何かに気が付いたのか、バッグの中から携帯電話を取り出し、耳に当てた。
「…もしもし、平澤くんっ?」
『ああ、咲か? まだ滝沢の部屋か? なら早く逃げろ、No.06のセレソンが─── 』
「あ、うん、知ってる。今、滝沢くんと、逃げてるとこ、」
滝沢に遅れないように注意しつつ、咲は電話の向こうの平澤に答える。
救出劇がいつの間にか、逃走劇になってしまっている事実が、歯痒い。
「誰かが教えてくれたの、そのこと…」
『なに? それは何者だ?』
「わかんない…、」
『そんなことよりィ、隠れる当てはあるの?』
おネエの心配そうな声が聴こえて、咲はすこしだけほっとする。
状況が危険かつ不利なことに変わりはないが、友人達の心遣いが、とても嬉しかったのだ。
「うん。滝沢くんの、バイト先に向かってる。鍵、持ってるんだって」
『…、そうか』
明らかな安堵の気配を耳にして、咲は心の中で礼を述べてから電話を切った。
バッグの中に携帯電話を押し込み、さっきから後ろを振り返っては様子を見ている滝沢に、ごめん、と目を向ける。
滝沢は何も言わず、ちいさく口元を緩めると、一度は離れてしまった手を取った。
細い指先に絡む、すこし骨ばった指。力強いその手に勇気付けられるように、咲はぎゅっと握り返し、アスファルトを蹴った。
■END
劇場版Ⅰを見て、書きたくなったネタです。本編補完。
黒羽さんからの電話で活動履歴をチェックし、事態に気が付いた滝沢くんの判断力はほんとにすごいと思う。
ジャケットに鍵をいれてたのに、あの状況で忘れずそれを持ち出せる彼の冷静さに惚れ惚れします。
あともう二つ、劇場版Ⅰを見て書きたいネタがあります。
一個はまたIFなので、後に回して本編補完書いてしまおうかな…。
IFは書きたいけど、どうかな。他にもいろいろあるからね。書きたいこと。
日がな一日エデンのことを考えてます。滝咲が可愛くて生きているのがつらいとリアルに口走っちゃいます、なんていうか…中毒。いや、エデン病です。
こんな病気の子に付き合ってくれる皆様、どうもありがとうございます。
─── 二人にシャワーを浴びさせ、部屋ごと爆破。
謎の女性からの指示に従い、ノブレス携帯を開いた滝沢は、No.06の詳細ログから申請内容を読み取ってハッとした。勝手に動き出したヒーターと、異常な暑さの意味を理解する。勢いよく振り向いた滝沢の視線を追いかけて、咲もヒーターへ目を向けると、注目を浴びることで興奮したかのように、ヒーターがきゅいぃいいと甲高い悲鳴を発した。
一刻も早く此処から脱出した方がいいと判断した滝沢は、驚いている咲の手を取って立ち上がらせると、玄関へ連れ出した。
「さきに出てて、すぐに行くから」
手を離してしまった彼に不安そうな瞳を見せた咲は、それでもこくりと頷き、背を向ける。
滝沢は急いでジャケットの中に入れっぱなしだった鍵束を掴み取ると、ポケットに突っ込んで一目散に逃げ出した。
エレベーターの現在地を知らせる表示を見守っていた咲を見つけ、待つ時間が惜しいと判断した滝沢は、その手を掴む。
「階段で行こう、その方が早いよ。たぶんね」
「うん」
頷いた彼女の手を引いて、滝沢は駆け出した。
咲は彼の手をぎゅっと握り締めて、ついて行く。
他のフロアの宿泊客から、好奇の目を向けられながら、階段を駆け下り、ロビーに出る。と、タイミングを見計らったかのように、どぉん、と大きな爆発音が上から響いて建物を揺らした。
ロビーに集う客やホテルマンが驚いた顔で、ざわめき始める。咲の手を握り締め、滝沢はお構いなしにホテルを飛び出した。
爆発音と、すこし焦げ付いた、ちりちりとした空気。物騒な気配の中を走り、立ち止まってホテルを見上げている人々の横を駆け抜ける。
角を曲がって、滝沢はちらりと後ろを振り返る。咲の様子を確認し、再び前を向くと、悲鳴のようなサイレンと共に消防車が近付いてくるのが見えた。
消防車が曲がっていった後、横断歩道を走る。
「滝沢くんっ、は、」
「なに?」
「何処に、行くのっ?」
「バイト先。鍵持ってるからさ、たぶん、逃げ込むにはいい場所だと思うよ」
走りながら問いかけてくる、途切れ途切れの声を落ち着けるように返す。
ホテルからすこし距離を設けられたので、咲に合わせて、いくらかペースを落とす。
咲は赤いバッグを抱えながら走っている。と、何かに気が付いたのか、バッグの中から携帯電話を取り出し、耳に当てた。
「…もしもし、平澤くんっ?」
『ああ、咲か? まだ滝沢の部屋か? なら早く逃げろ、No.06のセレソンが─── 』
「あ、うん、知ってる。今、滝沢くんと、逃げてるとこ、」
滝沢に遅れないように注意しつつ、咲は電話の向こうの平澤に答える。
救出劇がいつの間にか、逃走劇になってしまっている事実が、歯痒い。
「誰かが教えてくれたの、そのこと…」
『なに? それは何者だ?』
「わかんない…、」
『そんなことよりィ、隠れる当てはあるの?』
おネエの心配そうな声が聴こえて、咲はすこしだけほっとする。
状況が危険かつ不利なことに変わりはないが、友人達の心遣いが、とても嬉しかったのだ。
「うん。滝沢くんの、バイト先に向かってる。鍵、持ってるんだって」
『…、そうか』
明らかな安堵の気配を耳にして、咲は心の中で礼を述べてから電話を切った。
バッグの中に携帯電話を押し込み、さっきから後ろを振り返っては様子を見ている滝沢に、ごめん、と目を向ける。
滝沢は何も言わず、ちいさく口元を緩めると、一度は離れてしまった手を取った。
細い指先に絡む、すこし骨ばった指。力強いその手に勇気付けられるように、咲はぎゅっと握り返し、アスファルトを蹴った。
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