■東のエデン/滝咲前提、滝沢&平澤
※劇場版Ⅱのお話です。ご注意ください。
ご覧になる方は、「つづきを読む」からお願いします。
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君にとって間違いの定義を教えてよ
巨大なトレーラーから離れないように一定の距離を保ちつつ車を走らせながら、目的地を聞き終えた平澤は難しい顔で黙り込んだ。
滝沢は、せっかく抜け出してきたのに、飯沼夫人のもとへ戻ると言う。
戻れば最後、一度彼等を出し抜いた滝沢に二度目などない。雲隠れするのも作戦会議するのも、平澤たちが協力できるのも、今しかない。
それなのに、彼は戻るという。逃げない、と言う。その声に迷いはない。
どうして、と。平澤は、当たり前のようにその疑問を抱き、しかし何とか飲み込んだ。
そんなものは愚問だ。滝沢 朗という男は、本当にこの国を救おうと、滅茶苦茶かもしれないけれど、真っ直ぐに走っている。
何処からその強さが湧いてくるのか、平澤には不思議でならなかった。
不安ばかりが平澤の胸に募る。
滝沢を迎えにいった咲と共に帰国したというのに、滝沢はもう彼女と別行動を取っている。
彼女の身の安全を考えればそれも当然だったかもしれないが、滝沢は咲にひとつの依頼を出しているらしい。
彼がどういうつもりで飯沼夫人のもとへ戻り、どのようにこの事態を引っくり返すのか、そもそも引っくり返せるのかさえ分からないが、平澤は彼を信じるしかない。
一蓮托生、運命共同体、それは間違いでもないでもない。後がないのはこちらも同じだった。
黙り込んだ平澤を不審に思ったのか、イヤフォンから『平澤ー?』という軽い呼び声が聞こえてくる。
まるで変わらぬ滝沢の態度に、思わず平澤はどうでもいいことを口にしていた。
「何で大型免許なんぞ持ってるんだ、お前は」
『さあ? 俺もさっき知ったんだよね』
自らのジュイスを搭載したトレーラーを運転しながら答える滝沢に、平澤は小さく笑みを零す。
携帯電話の向こう側で、恐らく滝沢は笑っているのだろう。そんな気配がイヤフォンから聴こえた。
威圧感のあるトレーラーの後に続きながら、平澤は少し考える。
話題がなくなり、車内に沈黙が流れた。
高速道路を走る音だけが、耳に届く。
『…滝沢』
「なに?」
口を閉ざしたかと思ったら、意外とすぐに沈黙は破られた。
ノブレス携帯にちらりと視線を落として、滝沢は相手のかすかな緊張を読み取る。
平澤の声は先ほどよりも硬い。重要なことを、彼は口にしようとしている。
なんとなく、滝沢は肌で感じていた。
平澤が、何を恐れているのかを。
だから、努めて明るい、いつもと同じトーンで返した。
例えそれが自身を追い詰める為のものだとしても、不誠実な答えなんて、電話の向こうの平澤は切って捨ててしまうだろうから。
何より、そんな男でいたくなかったら。
滝沢は、促すように軽い声で返答した。
『お前、咲をどうするつもりだ?』
いつかも聴いた気がするなぁ、それ。
言葉には出さず、顔に出して。滝沢は笑った。
それは、もう訪れることのない、遠すぎる夢のような日のこと。
初めて平澤たち≪東のエデン≫メンバーと対面した、あの日のことを思い出し、滝沢は少しだけ寂しそうに目を細めた。
平澤の口で紡がれる、たった一人の女の子の名前に、胸が痛む。
彼女は、滝沢に過去を教えてくれた。記憶を取り戻すきっかけをくれた。
そして何より、今までずっと、滝沢を信じて待っていてくれた。
息を呑んでから、滝沢は気持ちを落ち着ける。
彼女をことを考えると、胸が苦しくて、逢いたくなって、悲しくなる。悲しいのは、たぶん咲の方なのに。
『咲は、ずっとお前を探してた。待ってたんだ』
「─── ああ、知ってるよ」
『…なら、どうするんだ? この後、お前は咲をどうするつもりなんだ?』
噛み締めるように頷いて、滝沢は深呼吸した。
平澤の問いかけは漠然としているが、言いたいことは分かる。
彼なりに咲のことを案じていて、そして同時に滝沢までも心配してくれている。
お人好しだなぁと笑って、滝沢はハンドルを握る手に力を込めた。
そうしないと、上手く答えることができそうになかった。
唇を薄く開いて、答えようとしてみる。
でも、はっきりとした言葉は出てこない。
彼女への気持ちなんてもう決まりきっている。
しかし滝沢は、それを吐露することは許されないと感じた。
テロリストとして報道されているも同然の、こんな男。
いっその事、咲の前から消えてしまった方が彼女の為なんじゃないだろうか?
迷いに、唇が動かなくなる。
ノブレス携帯から、平澤の呼びかけが聴こえていた。
『滝沢? お前、何を考えてる?』
「…いや。……たださ」
『なんだ?』
鋭い。沈黙に不審を覚えたのか、考えていることを悟られたのか、平澤の声には焦りのようなものが混ざっている。
不誠実な男ではいたくない。でも、答えは出ない。
彼女のことを想うが故に、このゲームがどんな終結を迎えてようと、もう自分は咲の傍に居られない気がする。
そんな不吉なな想像に頭を振って、滝沢はしっかりと前を見据える。
気持ちが決まっているのなら、ゲームが終わった時に考えればいい。
終幕がどんなものになっても、この想いに偽りはなく、咲と過ごした日々は滝沢にとって間違いなく宝物だ。
電話の向こうの平澤の心配と払拭するように、滝沢は呟く。
「まだ、咲にも言ってないんだ。だから、今は言えない」
『……そうか。願わくば、お前と咲が望む未来であることを祈るよ』
「ありがとう」
残念ながら平澤の声はまだ硬いままだったが、それで質問の答えとなったのか、彼は電話を切った。
途切れた通話に息を吐いて、滝沢は物憂げにフロント硝子の向こう、遠い空を見つめる。
半年前の自分も、その前の自分も。
信じてきた道がある。走ってきた道がある。
そこには、沢山の失敗があったかもしれない。
もっと良い方法も、あったのかもしれない。
誰かが損な役回りをすることでしか、この国は救えない。
そう感じてしまった、半年前のあの日。
その誰かに、自分がなろうと決意した。
信じてくれた子がいるから。
信じてくれる子がいるから。
そう決意できた。守りたいものを、確かに得たから。
傷だらけでも、構わない。守ろうと、立ち上がれた。
だけど、あの時と思惑は外れてきてしまっている。
このままゲームを上がっても、今の自分では守りたいものを傷付けてしまうだけかもしれない。
「実は俺、テロリストなんだ。─── どうする、咲? 本当に、そういうことになっちゃいそうだ」
軽口のつもりが、思いのほか重たく胸に圧し掛かる。
やっぱり、咲とはもう逢わない方がいいのかもしれない。
胸が引き裂かれるような痛みに息を詰めて、滝沢はその不安や苦しみを潰すようにアクセルを踏み込んだ。
■END
平澤と滝沢くんは書きやすい。というか、平澤が動かしやすい。
またも愛娘である咲ちゃんを案じるお父さんこと平澤くんです。
滝沢くんも、揺れてたんじゃないかなと思って書いてしまったんですが…なんだか弱い滝沢くん、もはや別人?(汗)
一回しか見てないこともあって表現しきれたかどうか分かりません…。次はパンフとかも買ってきちゃおうかな。次って今週の木曜日じゃない。ふふ。
ただ、一回見た感じだと、滝沢くん、咲ちゃんにすこーしばかりアッサリすしぎてた感じがあって…。
もしかしたら心のどこかで、もう逢わない方が咲の為かもしれない、なんて考えたかもと思ってしまって。
(それを思い直させる咲ちゃんのキスだったんだと妄想すると、また萌える。笑)
たぶん珍しい滝沢くん。弱いのは。
でも、あの……。似非っぽくてごめんなさいorz
やばー! もうだいぶ寝る時間過ぎてる。
というわけで寝ます。読んでくれてありがとう!
巨大なトレーラーから離れないように一定の距離を保ちつつ車を走らせながら、目的地を聞き終えた平澤は難しい顔で黙り込んだ。
滝沢は、せっかく抜け出してきたのに、飯沼夫人のもとへ戻ると言う。
戻れば最後、一度彼等を出し抜いた滝沢に二度目などない。雲隠れするのも作戦会議するのも、平澤たちが協力できるのも、今しかない。
それなのに、彼は戻るという。逃げない、と言う。その声に迷いはない。
どうして、と。平澤は、当たり前のようにその疑問を抱き、しかし何とか飲み込んだ。
そんなものは愚問だ。滝沢 朗という男は、本当にこの国を救おうと、滅茶苦茶かもしれないけれど、真っ直ぐに走っている。
何処からその強さが湧いてくるのか、平澤には不思議でならなかった。
不安ばかりが平澤の胸に募る。
滝沢を迎えにいった咲と共に帰国したというのに、滝沢はもう彼女と別行動を取っている。
彼女の身の安全を考えればそれも当然だったかもしれないが、滝沢は咲にひとつの依頼を出しているらしい。
彼がどういうつもりで飯沼夫人のもとへ戻り、どのようにこの事態を引っくり返すのか、そもそも引っくり返せるのかさえ分からないが、平澤は彼を信じるしかない。
一蓮托生、運命共同体、それは間違いでもないでもない。後がないのはこちらも同じだった。
黙り込んだ平澤を不審に思ったのか、イヤフォンから『平澤ー?』という軽い呼び声が聞こえてくる。
まるで変わらぬ滝沢の態度に、思わず平澤はどうでもいいことを口にしていた。
「何で大型免許なんぞ持ってるんだ、お前は」
『さあ? 俺もさっき知ったんだよね』
自らのジュイスを搭載したトレーラーを運転しながら答える滝沢に、平澤は小さく笑みを零す。
携帯電話の向こう側で、恐らく滝沢は笑っているのだろう。そんな気配がイヤフォンから聴こえた。
威圧感のあるトレーラーの後に続きながら、平澤は少し考える。
話題がなくなり、車内に沈黙が流れた。
高速道路を走る音だけが、耳に届く。
『…滝沢』
「なに?」
口を閉ざしたかと思ったら、意外とすぐに沈黙は破られた。
ノブレス携帯にちらりと視線を落として、滝沢は相手のかすかな緊張を読み取る。
平澤の声は先ほどよりも硬い。重要なことを、彼は口にしようとしている。
なんとなく、滝沢は肌で感じていた。
平澤が、何を恐れているのかを。
だから、努めて明るい、いつもと同じトーンで返した。
例えそれが自身を追い詰める為のものだとしても、不誠実な答えなんて、電話の向こうの平澤は切って捨ててしまうだろうから。
何より、そんな男でいたくなかったら。
滝沢は、促すように軽い声で返答した。
『お前、咲をどうするつもりだ?』
いつかも聴いた気がするなぁ、それ。
言葉には出さず、顔に出して。滝沢は笑った。
それは、もう訪れることのない、遠すぎる夢のような日のこと。
初めて平澤たち≪東のエデン≫メンバーと対面した、あの日のことを思い出し、滝沢は少しだけ寂しそうに目を細めた。
平澤の口で紡がれる、たった一人の女の子の名前に、胸が痛む。
彼女は、滝沢に過去を教えてくれた。記憶を取り戻すきっかけをくれた。
そして何より、今までずっと、滝沢を信じて待っていてくれた。
息を呑んでから、滝沢は気持ちを落ち着ける。
彼女をことを考えると、胸が苦しくて、逢いたくなって、悲しくなる。悲しいのは、たぶん咲の方なのに。
『咲は、ずっとお前を探してた。待ってたんだ』
「─── ああ、知ってるよ」
『…なら、どうするんだ? この後、お前は咲をどうするつもりなんだ?』
噛み締めるように頷いて、滝沢は深呼吸した。
平澤の問いかけは漠然としているが、言いたいことは分かる。
彼なりに咲のことを案じていて、そして同時に滝沢までも心配してくれている。
お人好しだなぁと笑って、滝沢はハンドルを握る手に力を込めた。
そうしないと、上手く答えることができそうになかった。
唇を薄く開いて、答えようとしてみる。
でも、はっきりとした言葉は出てこない。
彼女への気持ちなんてもう決まりきっている。
しかし滝沢は、それを吐露することは許されないと感じた。
テロリストとして報道されているも同然の、こんな男。
いっその事、咲の前から消えてしまった方が彼女の為なんじゃないだろうか?
迷いに、唇が動かなくなる。
ノブレス携帯から、平澤の呼びかけが聴こえていた。
『滝沢? お前、何を考えてる?』
「…いや。……たださ」
『なんだ?』
鋭い。沈黙に不審を覚えたのか、考えていることを悟られたのか、平澤の声には焦りのようなものが混ざっている。
不誠実な男ではいたくない。でも、答えは出ない。
彼女のことを想うが故に、このゲームがどんな終結を迎えてようと、もう自分は咲の傍に居られない気がする。
そんな不吉なな想像に頭を振って、滝沢はしっかりと前を見据える。
気持ちが決まっているのなら、ゲームが終わった時に考えればいい。
終幕がどんなものになっても、この想いに偽りはなく、咲と過ごした日々は滝沢にとって間違いなく宝物だ。
電話の向こうの平澤の心配と払拭するように、滝沢は呟く。
「まだ、咲にも言ってないんだ。だから、今は言えない」
『……そうか。願わくば、お前と咲が望む未来であることを祈るよ』
「ありがとう」
残念ながら平澤の声はまだ硬いままだったが、それで質問の答えとなったのか、彼は電話を切った。
途切れた通話に息を吐いて、滝沢は物憂げにフロント硝子の向こう、遠い空を見つめる。
半年前の自分も、その前の自分も。
信じてきた道がある。走ってきた道がある。
そこには、沢山の失敗があったかもしれない。
もっと良い方法も、あったのかもしれない。
誰かが損な役回りをすることでしか、この国は救えない。
そう感じてしまった、半年前のあの日。
その誰かに、自分がなろうと決意した。
信じてくれた子がいるから。
信じてくれる子がいるから。
そう決意できた。守りたいものを、確かに得たから。
傷だらけでも、構わない。守ろうと、立ち上がれた。
だけど、あの時と思惑は外れてきてしまっている。
このままゲームを上がっても、今の自分では守りたいものを傷付けてしまうだけかもしれない。
「実は俺、テロリストなんだ。─── どうする、咲? 本当に、そういうことになっちゃいそうだ」
軽口のつもりが、思いのほか重たく胸に圧し掛かる。
やっぱり、咲とはもう逢わない方がいいのかもしれない。
胸が引き裂かれるような痛みに息を詰めて、滝沢はその不安や苦しみを潰すようにアクセルを踏み込んだ。
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もしかしたら心のどこかで、もう逢わない方が咲の為かもしれない、なんて考えたかもと思ってしまって。
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