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エデンに響き渡るのは、焦がれた声。
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■Fate/stay nigiht(凛)
※原作、UBWの最終決戦前夜のお話です。ネタバレを含みます。
※また凛→弓、凛→士郎となっておりますので、ご注意ください。

ご覧になる方は、「つづきを読む」からお願いします。

彼の理想は誓いに敗れ、其の誓いは磨耗した理想を塗り替える



「─── 何でよ、アーチャー」

そんな問いかけに意味はない。だってそれは自身が納得がいかないと駄々を捏ねているだけのものだ。彼にとって意味があったならば、この結末が無意味なんてことはない。
例え衛宮 士郎に残るものが目を逸らしたい程の残酷でも、遠い世界にある筈の彼自身の未来は変わらなくても、望めない希望を夢見ただけであっても、本人には意味があったのだろう。それが遠坂 凛という他人から見て、頭に来る類のものだったとしても、彼は納得して全てを衛宮 士郎に託し、衛宮 士郎は理解して託されたのだ。
そう。だから、だから泣きたいのだ。自分は彼に何を見せることができただろう。理想を追い続けてその理想に裏切られた彼に、ほんの一握りの温もりを思い出してもらうことくらい、できたのだろうか。

まだサーヴァントとマスターという主従関係であった頃、あいつが見せた皮肉も言葉も偽りなどでは有り得ない。共に過ごした彼女が、それを一番よく分かっている。彼女はその関係がとても気に入っていた。あの赤い騎士に背中を預けることが、ひどく安心できた。本当に、心底から。彼女はその立ち位置を気に入っていたのに。

失ってしまったものはもう戻らない。
アーチャーは、衛宮 士郎を守り、彼に全てを託した。
彼に見せてあげられなかった夢、それを叶える為の未来を、この遠坂 凛以外の誰が引き受けるというのか?

「どっちが大事なのよ」

ええい、と凛は悪態をつく。煮え切らない想いはぐつぐつと彼女の脳を煮立て、慣れない感情を直視したくないと不平を漏らす。
どっちが大事か、なんて。そんなもの決まっている。


「どっちも大事。譲れないものは一つじゃない。ええ、そうよ、悪い?」


何処か消え入りそうな声で、しかし決意は固く零れ落ちる声は誰に向けられたものか。
勝たなければ、恐らく全てが終わる。この街だけの話ではない。世界そのものが狂いだすだろう。
戦力差は明らか。ギルガメッシュの戦力を戦争に例えた士郎は、実に正しい読みをしている。戦争に勝つには戦争を用意しなければ始まらない。セイバーという個人の戦力では戦争に太刀打ちなどできまい。

夜明け前に、ギルガメッシュを倒しにここを出る。それはもう決定事項だ。

その準備として、魔術師たる彼女が思いついた策はひとつだ。手っ取り早い戦力アップを図る。手段は、衛宮 士郎との繋がりを創り出し強固にし、彼に魔力を供給すること。
つまりそれは、彼と文字通り繋がる必要があるわけで。


「─── っ」


その行為を脳裏に思い浮かべ、凛の頬は朱に染まった。同時に、胸に押し寄せる、熱いものを感じる。
誰かへ向ける特別なこの感情の名前を、彼女は知っていたけれど認めてこなかった。
認められる筈もない。それは二つへと分かれていて、その先でひとつへと繋がっているのだから。

彼が認めてこなかった自分。
少年が目指していた理想。

その二人がお互いを認めずに歩んできた今まで、彼女の胸に燻る感情は揺らぐだけで定まりやしなかった。それを誰が責められよう。

少女は長い黒髪を指先で弄び、物憂げにベッドへ腰掛ける。
理想に裏切られた彼は、それでも理想を信じ続けるという少年に、はかない夢を見たのだ。そんな彼がひどく愛しく、どうして自分の傍に彼が居ないのか、凛は泣きたいくらいに悔しかった。

唇を結んで、息を吐く。
大事なものはひとつだけじゃない。赤い騎士が夢見た儚さを守る為にも、彼女はかつての彼を支えるのだ。


「─── あなたを好きなことに偽りなんてないでしょう、アーチャー」


向ける想いは唯一、その想いを向けられた存在は二つでひとつ。
もう既に彼には届けられる方法はないと知って、零した吐息は夜に呑まれた。


■END

Fateが熱い。泣く。全力でUBWを読んで泣いた。二度やって二度とも泣くとはな…!
一度目は二年ほど前だったのだが、まさか士郎に今この時になって愛着が湧くとは思わなんだ。

というか、私は弓凛を書きたいのか士凛を書きたいのか、どっちかにしなさい。
…うん、どっちもでも良かったんだ。結局、凛が好きだから、弓凛も士凛も可愛い。
私はもともとは弓凛を愛でていたから、こう…士凛に転びかけた今、アーチャーと士郎、凛はどちらのことを好きだったのか? なんて考えた。
結論として、凛はどちらも好きだったんだと思う…。
それが(CP的な意味の同人界で)容認される答えなのかは分からないけど、哀華さんが見てきた凛は、どちらにも惹かれていたのではないかな、と思ってしまったのでした。

ところで今更すぎるFateでさらに今更なんですが(だって劇場版を見てリプレイしたくなっちゃったんだもの! せめてUBWだけでもね)、慎二って本当はいいやつだったんじゃないかという妄執を捨てきれない…。や、確かもとより慎二はあんなキャラに仕上がる予定ではなかったんではなかったっけ?
Fate(原作)しか情報源がないのであやふやですが…。慎二と桜でほのぼのしたい。


思いのほか、使い勝手が良いのでついblogを使ってしまった。はあ。潮時か。やはり掃き溜めの数は絞った方がいいのだろう…。むむむ。

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東のエデン/滝沢朗×森美咲
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ダークトランス系がとてもすき。
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