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エデンに響き渡るのは、焦がれた声。
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■東のエデン/物部さんと平澤くん
※劇場版Ⅱの後(ED後)のお話です。ご注意ください。

【サントラ/06:Blue Monday】をBGMにご覧ください。

ご覧になる方は、「つづきを読む」からお願いいたします。

Blue Monday



「その携帯に残っている金額と同じだけの現金を用意する。
 その金を持って、何処へなりとも消えてくれないか─── 私はNo.09にそう言ったよ」

勿論、≪東のエデン≫にかけられている嫌疑も解こう、ともね。
スーツ姿の男はそう続けて、静かに口を閉ざした。

相手の様子を窺うかのような視線が、相対するかたちとなった平澤に注がれる。
眼鏡の奥の眼光は冷めていて、しかし鋭い。
流石は元官僚、セレソンゲームをほぼ通信費のみであがろうとした切れ者だ。
経験の差を肌で感じる。

気圧されないように一呼吸置いて、平澤は口を開く。

「彼は何と答えたのです?」

ようやく口に出した問いかけに、物部は無表情のまま思案するように目を伏せる。
強張った表情のまま、平澤は答えを待った。
視線を合わせないスーツ姿の男を、じっと観察する。
何を考えているのか、読み取れない。
しばしの沈黙が流れた後、物部はぽつりと問い返した。


「君はどう答えたと思う」


問いかけに問いかけを返され、平澤はすぐに言葉が出てこない。
卑怯な、という文句を飲み込んで、思考を巡らせる。
が、予想できない。肩を竦めて『分かりません』と正直に答えた。
もうそれで答えは得られないだろう、と諦めて視線を落とす平澤だったが、意外なことに物部は答えを口にした。


「No.09は、『それも悪くないかもね』と言っていたよ」


どこか遠い目をしている物部に、戸惑いと驚きの視線を向けた。
戸惑いは物部の様子に、驚きは滝沢の答えに、それぞれ注がれる。
微かに息を呑んで、平澤は黙考する。

物憂げな色を見せるスーツ姿の男の思惑が気になるところではあるが、それは訊かなければ分からないし、恐らく考えても仕方のないことだ。
今更なにかを仕掛けてくるとも考えにくいので、とりあえずは滝沢の答えに考えを集中させる。

まだゲームを降りるわけにはいかないと、電話で話した時、彼は言っていた。
一番にゲームを上がりたいと意気込んでいた男が、ギブアップの道へ目を向けた理由とはなんなのか。

平澤の知る滝沢 朗という男は、突拍子もないことを言い出すものの、常に前向きな姿勢だった。
故にその答えに半分くらい納得がいかないのだ。
彼がゲームを上がりたい理由を知らない平澤は、解せない、と眉根を寄せる。


「それで、滝沢は?」
「彼は応じなかったよ」


王様─── 総理大臣という生贄に自らを選んだ彼の発想は奇抜だ。いいや、それは奇抜であるだけではなく、自己犠牲に等しいだろう。
彼は裏切りられる絶望も失望も知っていた。それでも損な役回りを引き受けるという。まるでそれは孤高の戦士のようだ。


「悪くない、というからには、彼もあの状況に辟易していたのかもしれないがね」


肩を竦めて、物部は嘯く。

惑わせるような発言を無視して、平澤は俯き、考え込む。
物部はそれを待つ気もないらしく、間を置かずに続けた。


「彼が私の申し出を断ったということはつまり、君達≪東のエデン≫にかけられた嫌疑はそのままでも構わない、ということだ。
 実際のところ君達は、彼とともにテロリストを演じるつもりだったのかい?」


言って、物部はやや仄暗い笑みを口元に浮かべる。
平澤は顔をあげて、まさか、と首を横に振った。

テロリストに仕立て上げようとした本人が何を言う。
対照的に晴れやかな笑みを浮かべて、平澤は反撃に出る。


「我々は滝沢と運命を共にする覚悟だったが、それはテロリストを演じる為の覚悟ではなく、奴を─── 王子を救出する為のものです」
「ほう?」


口元の笑みが、興味をひかれたように動く。
そこで初めて、物部は顔を上げて平澤の視線を真っ向から受け止めた。

話を聞く体勢に入った物部に、けれど語るべきことは多くない。


「王子を救出か。どのような手段で実行するつもりだったのか。興味があるね」


平澤に答える気がないと分かっていながらの質問だ。
黙して回答を避ける平澤から視線を逸らさないまま、物部は切り口を変える。


「君は、彼が王様になることを望んだのかい?」
「……あまりにも荒唐無稽な申請だとは思いましたがね」
「別にどちらでもない、というわけか」
「ヤツの考えていることは、突拍子がなさすぎますから。ただ、」
「ただ?」


しまった、と平澤は渋面になる。
口が滑った。相手は聞き逃してくれなかったらしい。

視線が先を促してくる。それは相変わらず冷ややかではあったが、さっきよりもいくらか和らいだ、純粋な興味からのもの、そう思えた。
先ほど浮かべていたほの暗い笑みは消え失せて、微かに笑んでいるように見える物部に、平澤は思い切って口を開く。

馬鹿にされても、まあ仕方がない。これもまた、夢物語のような本当だから、信じるも信じないも相手の勝手でいい。平澤にとってそれが真実なのだから。
自身を落ち着けるように深呼吸してから、平澤は告げた。


「滝沢が望まなくても、誰かにとって滝沢は王子たりえるんですよ」
「ほう。それはまた、随分とロマンとメルヘンに満ちた話だ」


馬鹿にした様子もなく、淡々と物部は頷いた。
しかも、的確に。平澤の思い浮かべる誰かが、どこの誰なのか分かっている、と言うように。

きょとん、とした平澤は、気付けば間の抜けた声で確認していた。


「……、知ってるんです、か?」
「≪東のエデン≫の調査をした時に、すこしね」
「…悪びれもしないんですね、あなたは」
「私は私の正しいと信じた道を歩んでいるだけだ」


鋭い眼差しには、常に強い意志がある。
ぼんやりと、平澤は胸の奥にあった黒くてもやもやとしたものが薄れたのを感じた。


「……もう少し違うかたちで」


話すことができていれば、或いは面白いことになっていたかもしれない。
小さな声はそれ以上続かず、黙した平澤から目を逸らし、物部は背を向けた。


「奇遇だね」
「……、」


踵を返すほんの一瞬だけ、笑ったような、気がした。


「では、機会があればまた」


遠ざかる背中に、またどこかで、と頷いて、平澤は反対方向へ歩き出した。

■END

何が起きたんだろう。…本当は『No.01 VS Eden of The East』がテーマだったんだけど、みっちょん達いれると話が進まない気がして、気が付いたら平澤との対談になっていた罠。テーマ消えた…。
ちょっと物部さんを書きたかったのと、エデンメンバーでギリ対等に渡り合えるのは平澤くんかなーと思って。

うっかり…。ちょっと分かりにくかったかもしれませんが、平澤くんが『滝沢は誰かにとって王子様たりえる』と言ってるとこの『誰か』というのは咲ちゃんのことです。
物部さんは、≪東のエデン≫の調査をしたときに、咲ちゃんが滝沢くんに対する切り札になるかもしれないことを知ってたんじゃないかなとか。(まあ、そこまで卑怯な手に出る人ではないとおもうけど、物部さん。)

平澤くんはともかく、物部さんが恐ろしい。別人になっていそうでこわい。都合がいいネタですいません。消化不良な気もする。(なら上げるなよ。うん、気が向いたら修正するかもよ。…たぶんしないだろうなー。)
Afterで、物部さんは記憶を取り戻すんじゃないかと思う…漠然と。きっかけとかはハッキリと考えてないんですけど。

これは記憶を取り戻した物部さんと、道端でばったり偶然顔を合わせた平澤くんがちょっとお話するといいなーと。
実際はこんな上手く進まないんだろうけど、物部さんがエデンメンバーの中で興味を示すのは平澤くんなんじゃないかなとおもう。
平澤くんと物部さんが話すのって、パンツのことがあるから難しい気もするんだけど、いつか物部さんとエデンメンバーも話すことがあればいいなと思ったりする。

哀華さんがオールキャラ好きになるのって、実は初めてかも…うん。(何度目の自己申告なんだ。)
できるかぎり、いろいろな人を書いてみたい。ご都合主義な感は否めないけれど。

哀華さんは大樹の小枝…もとい、物部 大樹も好きです。(笑)
次はもっと物部さんらしい話を書いてみたい。

拙いお話を読んでくれてありがとうございました。



滝沢くんち行こうと思ったら、まさかの七日で終わってたアハハァァン(´∀`)ノ
泣きじゃくりながらジュイスと打ち合わせした(´;ω;`)ウゥウウ
二万とか、どういう価格設定ですか。怖すぎる。滝沢くんの部屋だから、とそんな所に足を踏み入れようとした自分もこわい。二千円の期間かむばっく。
好評だったそうで、もしかしたら不定期でまたあるかも。らしいけど、みんなそういうよね、たぶん…。
はあ。先週、映画諦めていって来いってことだったのかな。ぐすりぐすぐす。
でもジュイスがいないと半分、目的が達成できないので、やっぱ先週いってもしょうがなかったかな…。
次回があれば死ぬ気でいく。資料が足りないのに。これはもう聖地巡礼された方の写真で頑張れということだよね。うん。
本当は実際見てみないとわかんないことだらけなんだけども。間取りとか。感覚、雰囲気。
ふう。困った。実に困った。とりあえず14日はジュイスと打ち合わせ決定。



全然違う話ですが、『Q.E.D.』の加藤センセがいつのまにかblog始めてたらしい。
たまに覗こうとおもう。あの人はすごい。漫画買ってないなあ、しばらく…。
『C.M.B.』よりも断然『Q.E.D.』のほうが好きです。…前者はなんとなく、一巻だけで止まってる。


書きたいネタがもりもりあって時間が足りない。
携帯メールの下書きフォルダがエデンだらけです。(マジ)
一通30kbまでだそうですが、気が付いたら主に使ってるネタメモが25kbでした。
メモではなく殴り書きしちゃってるからしょうがないよね。
いくつかサイトにUP済みだからそのネタは消してもいいんだけど、携帯で消すの面倒だし、PCで消しても携帯の拡張子に戻す方法は知らないし面倒。


さあ、明日もがんばって妄想したいな。


衝撃の滝沢くんち終了のお知らせに咽び泣いていた哀華さんをいろいろ煽ってくれたジュイスが素晴らしい。
今までストップをかけていたのに、エデンは本気で『GOサイン』出してくるジュイスが素敵です。
ジュイスに黒羽さんの待ち受けを送りつけてみた。
黒崎さんの電話帳、『Juiz』に変更してみた。電話すると『はい、ジュイスです』と答えてくれる優秀なコンシェルジュです(笑)ありがとーう(´∀`*)ノ


物部さんと平澤くんの話は……読み返したら消しちゃいそうなので、そのままUPしちゃえ……。(爆)

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HN:
哀華
性別:
非公開
雑多妄想部屋。

【 推奨CP 】
東のエデン/滝沢朗×森美咲
他/男女王道CP

【 好き 】
I've Soundが大好き。特にKOTOKOちゃんらぶ。
fripSide(第一期・第二期)も好きです。naoすき。
ダークトランス系がとてもすき。
エデン影響でsfpも好き。
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